ストレス社会の中で増加傾向にある男性更年期障害。

 やる気が出ない、疲れやすい、イライラする、よく眠れないなど、様々な体の不調を感じた時に、この病気を疑うことの重要性を前回は紹介したが、今回はその治療法や予防法について、佐々木春明医師に聞いた。

 「最初に血液検査を行い、血液中の男性ホルモンの量を調べます。正常であれば更年期障害ではないということで他の医療機関を勧め、少なければ男性ホルモン補充療法を始めます」(佐々木医師)

 病院によって間隔は異なるが、2週間か3週間に1度の割合で通院し、テストステロンという男性ホルモンを筋肉注射する。定期的に注射するのは、時間の経過とともにホルモン量が減少するからだ。

簡単な治療で、効果は絶大

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 注射を打つだけの簡単な治療にもかかわらず、効果は大きい。集中力もなく、だるくて、元気のなかった人が、明るく元気になってまたバリバリ仕事ができるようになる。男性ホルモンには抗うつ作用もあるので、うつ的な症状も改善される。

 「早い人は、病院で注射を打って、帰りの駅の階段を上る頃にはすごく元気になります。また、翌日、あるいは翌々日には、朝立ちが戻ってきます。精神的な自信にもつながり、さらに元気になります」(佐々木医師)

 うつ的な状態になって思いつめ、抗うつ剤を飲み続けていたにもかかわらず一向に症状が改善されずに苦しんできた患者さんが、1本の注射で見違えるように元気を取り戻すわけだから、その喜びは大きい。

 副作用としては、前立腺肥大のある患者さんの場合、尿が出にくくなるケースが考えられる。また、前立腺がんが発生しやすくなるのではないかという心配もあるが、これに関してはデータがあるわけではない。

治療は3カ月から6カ月で終了

 治療はどのくらい続けるのか? 欧米では、良い飲み薬や塗り薬があるので継続して治療をするが、日本では事実上注射だけが有効なので、3カ月から6カ月程度で終わることがほとんど。心配は、症状がぶり返さないのかという点だが、これについては大丈夫。