加えて、アップルの生成AI(人工知能)機能である「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」や、新たに市場投入した中価格帯端末「iPhone 16e」も重要喚起につながるとIDCは指摘。これらにより、アップル端末の平均販売価格(ASP)はこれまで通り高水準で推移する。アップルの出荷台数ベースのシェアは19%だが、金額ベースのシェアは45%に上ると、IDCは予測している。

トランプ政権の対中関税、米市場での影響限定的

 第2次トランプ米政権は、中国からの輸入品に対し追加関税を課す。アップルのiPhoneは大半が中国で生産されているため、その課税対象になると考えられる。すなわち特例がなければ、米国におけるiPhoneの販売価格は上昇することになる。

 しかし、IDCのリサーチディレクター、アンソニー・スカーセラ氏は、その影響を重要視する必要はないと指摘する。同氏は「米国では多くの消費者が通信事業者の提供する分割払い・下取りプランを利用するため、価格上昇の影響は限定的」と分析。これらにより、2025年における米国のスマホ市場は3.3%の成長が見込まれるという。世界市場の成長率を1ポイント上回るとみる。

世界スマホ市場、2029年までの年平均成長率は1.6%

 世界のスマホ平均販売価格(ASP)は2025年にわずかに上昇し、434米ドル(約6万5000円)となる見通しだ。低価格帯Android端末の販売が増加する一方で、スマホの高価格化が進んでいるからである。同市場においては、高価格帯の機種がより高度な機能やデザイン・素材などを導入し、これまで以上に付加価値を高める傾向が強まっている。

 IDCは、世界スマホ市場の2024年から2029年までの年平均成長率(CAGR)が1.6%になると見込んでいる。①スマホ普及率の上昇、②買い替えサイクルの長期化、③中古スマ市場の成長、といった3つの逆風により、今後の市場成長は緩やかなものになると予測している。