世界中で沸き起こる反テスラ・デモ、その背後に「投機の帝王」ソロスあり?
マスクは名指しで非難、真っ向から対立し始めた左と右の億万長者
2025.3.13(木)
高濱 賛
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テスラの生産台数はトヨタの16%
マスク氏が他の億万長者と異なるのは、巨額の富を手中に収めつつ、現在、株や投資・金融といった目に見えないビジネスではなく、一般市民の目につきやすい身近な企業を経営していることだ。
それが電気自動車テスラであり、スペースXであり、一般市民が毎日使っているSNSの「X」(旧ツイッター)なのだ。
確かにテスラはその生産台数では年間177万台と、トヨタ自動車の1080万台には遠く及ばない。
年間売上高でも977億ドルと、3000億ドル超のトヨタにはまだ水を開けられてはいる。
だがそれはまだガソリン車天下の2024年段階でのこと。5年後、10年後には逆転しているかもしれない。
マスク氏は、2024年の米大統領選の終盤に選挙資金として2億8800万ドルを携えてトランプ候補応援に本格的に参加した。
その時点からテスラの欠陥に対する業務命令破棄、EVに対する規制緩和を目論み、トランプ政権発足と同時に実現させている。
5年、10年先を見据えた「EV時代」のための布石を着実に打っている。
一連のテスラ攻撃の影響を受けて、テスラの売り上げは右肩下がりの傾向を見せている。
マスク氏主導の連邦職員大量解雇、関税引き上げなどの諸要因で、国内総生産(GDP)が低迷、景気悪化の兆しを反映してテスラの今後の売れ行きは不透明だ。
(Elon Musk's Net Worth Has Dropped Since Donald Trump Took Office - Newsweek)
専門家たちの予測も分かれている。
早くもマスク氏は「Icarus Moment」*1、(イカロスの瞬間)に直面するという悲観論もあれば、すべては株価次第と見る楽観論もある。
*1=ギリシャ神話に出てくる蠟でできた翼を持つイカロスが自己過信して、太陽に近づこうとして翼がとけて墜落してしまう話。慢心・傲慢への戒め。
(What Swing Voters Think of Musk, Trump, and the Economy)