トランプ米大統領(右)との会談で、笑顔を見せる石破首相(写真:共同通信社)
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(国際ジャーナリスト・木村正人)

トランプ氏「USスチールは買収でなく巨額の投資」

[ロンドン発]ワシントン訪問中の石破茂首相とドナルド・トランプ米大統領は2月7日の首脳会談で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け協力し、日米同盟の抑止力・対処力を高めて直面する地域の戦略的課題に緊密に連携して対処することで一致した。

 トランプ氏は核を含むあらゆる能力を用いた日本防衛への揺るぎない米国のコミットメントを強調。両首脳は日米安全保障条約5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認した。石破氏は対米投資額を1兆ドル規模まで引き上げる意欲をトランプ氏に伝えた。

 日米両国は人工知能(AI)や先端半導体の開発で世界をリードする考えだ。トランプ氏は会談後の共同記者会見で、ジョー・バイデン前米大統領が阻止した日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収計画について「買収ではなく、巨額の投資をすることで合意した」と打開策を提示した。

 対中半導体規制を強化したバイデン政権は国内だけでなく同盟国や友好国とのネットワークを活用するサプライチェーン「フレンド・ショアリング」の強化を呼びかけてきた。バイデン氏は大統領選で全米鉄鋼労働組合(USW)の支持を取り付けるため買収計画を阻止した。