本来は普通の風邪なみの症状、特効薬はなし
インフルエンザや新型コロナには比較的良い薬がある。たとえばタミフルやゾフルーザ、パキロビッドなどだ。
だが、こうした薬を一般庶民が中国の医療機関で手に入れる機会はほとんどない。美団などの購入サイトでも売り切れ続出で、入手できても高額になっている。ゾルフーザは、1月初旬の段階で中国のネットで1錠50元以上、薬局でも1箱10錠入りで500元だ。
パキロビッドに至っては庶民には入手ルートすらない。さらに薬局では普通の解熱薬や痛み止めも欠品が相次ぎ、ネット上では定価の数倍の値段がついている。
ここで、にわかに話題になっているHMPVについていえば、2001年にオランダで確認された比較的新しいウイルスなので、目下ワクチンも特効薬もないという。本来、さほど重篤化することのない普通の風邪なみの症状で、一生うちに何度も罹患(りかん)するようなウイルスだ。
中国の場合は14歳以下の感染が急増していると、中国疾病コントロールセンター感染病所長が12月27日の記者会見で発表している。北部で流行が拡大しており、肺炎症状の患者数は昨年の同時期より少ない、と説明している。だが、北京の医療関係者たちはSNSなどで、現場で収容しきれないほどの肺炎症状の患者が出ていると訴えている。