EV事業責任者の関氏がM&Aも担当

  そうした中で、鴻海が力を入れている事業が、CDMS(Contract Design and Manufacturing Service=受託設計・製造サービス)だ。EMSとCDMSの違いは簡潔に言えば、EMSは顧客が開発したものを単純に組み立てることであるのに対し、CDMSは製造だけではなく上流の開発領域まで一貫して担当する点にある。

 鴻海はEVについてはCDMSを中心に事業を進めていく方針だ。

 そのEV事業の最高戦略責任者を務めるのが、関潤氏である。

インタビューに答える関潤氏(写真:井上久男、2024年10月8日、台湾の台北市にて)

 関氏は日産でナンバー3の副COO(最高執行責任者)に就任後、2020年に日本電産(現ニデック)に移って社長を務めた。そして23年から現職にある。最近は、EV事業に加え、他社との提携戦略を担うミッションも加わった。

 24年10月、筆者は台湾・台北で開催された鴻海の技術展示会である「テックデイ」に参加し、関氏に直接話を聞いた。インタビューなどを通じて見えてきたことは、鴻海が積極的なM&Aなどを通じて、EV事業のグローバル戦略を急ピッチで強化しようとしていることだった。

 しかも、その強化策の中で、日産とホンダがいる「日本」は最重要ターゲット市場となっていた。