「戦争の性格は時代の技術的・社会的・文化的・政治的変化によって形成され、絶えず進化している。SNSの接続性とオンライン決済システムの効率化によってグローバルな水平ネットワークが出現し、民間人と兵士がつながるようになった」

 スパンスヴォル氏によると、ドローンの多くは高火力兵器を搭載し、以前はハイエンドの精密誘導弾に限られていた精度で敵に投下される。その効果は記録され、SNSを通じてほぼリアルタイムで世界中の視聴者に届けられ、継続的な財政支援の強固なサイクルを生み出す。

「クラウドファンディングは戦争の金融兵器に急成長した」

「クラウドファンディングの規模と範囲は過去に例を見ないものであり、戦争の金融兵器に急成長した。これは市販ドローンの大規模な取得と武器化に拍車をかけた。最も普及しているドローンの単価は350~1000ドルとかなり安価である」とスパンスヴォル氏はいう。

 ウクライナへの“特別軍事作戦”は「邪悪な」西側諸国からロシアを守るため、というウラジーミル・プーチン露大統領のロジックは破綻している。クルスク州侵攻とモスクワへの大量のドローン襲来はプーチンの権威を足元から揺さぶっている。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。