プロ野球のチームは誰のものか
野球は「おらがチーム」のスポーツだと思っている。同じ試合でも、どちらかを必死に応援しながら観るのと、どちらを応援するでもなくぼんやり観るのとでは、まったく別物だ。
野球が、ある意味、文化として残ってきた最大の理由は、そこにあるのではないだろうか。それを地域性や、ローカル性と言ってもいいのだが、個人的には「おらがチーム感」といったほうがしっくりくる。
そして、プロ野球は、自分の子どもの運動会みたいなところもある。子どもが一等賞を獲るために一所懸命努力していて、その頑張る姿を観に行って、声を嗄からして応援している。
自分の子どもが出ている試合と、出ていない試合では全然違うように、自分のチームだと思った瞬間、それに近い感覚になって、オフの間も選手の補強とか、練習のことが気になるし、監督に文句の一つも言ってみたくなる。要するに、心の底から「頑張れ」と思える、それが野球の持っている大本質なのだ。
普通に考えれば、3時間を超えるゲームは長いし、半年以上も続くシーズンは長い。なのに、みんな自分のチームだと思ってくれているから、それをずっと観ていられるし、試合がない日は寂しいと感じる。
やっぱり、プロ野球のチームはファンの皆さんのものであり、そんな皆さんに支えられて成り立っているのだ。
(『監督の財産』収録「6 稚心を去る」より。執筆は2019年1月)