その狙いは、次のように想定されている模様である。
・台湾海峡:同海峡における海上・航空優勢を獲得し、同海峡を排他的に支配すること。
・北部:首都台北を狙いに、政治経済・軍事上の重要目標を威嚇し、民進党当局に強く警告すること。
・南部:「台湾独立拠点」と考えられている台南をターゲットとするほか、高雄港を封鎖し対外貿易にダメージを与えること。
・東部:輸入や台湾独立勢力の逃亡、米国などによる支援の3つのラインを遮断すること。
このように、本演習には政治的・軍事的打撃を与えることのほか、経済的に貿易ルートを遮断するとともに、米国などの外部勢力の介入を阻止する意図が含まれていると見られる。
また、中国軍の演習は同大陸に隣接した台湾領の金門島、馬祖島、烏丘島、東引島周辺でも行われたのも特徴である。
2022年8月、中国軍はナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が台湾を訪問したことへの対抗措置として同様の演習を4日間続け、その後数日間にわたって追加演習を行った。
専門家の間では、前回の演習は主として経済封鎖を目的としていたが、今回初めて本格的な台湾侵攻をシミュレートする軍事演習を行ったと指摘されている。
また、中国軍が自国の沿岸に近い離島を標的としたのも今回が初めてとされる。
このように、中国軍の演習が軍事侵攻を想定して次第にエスカレートし本格化・実戦化していると判断されることから、今後一段と警戒を強める必要があろう。