お金第一主義の価値観を象徴

 もしトランプが我々のCEO(最高経営責任者)なのだとすれば、米国は今、価値が毀損したディストレスト資産なのだろうか。

 そう疑問に思わざるを得ない。

 米国経済は近年、どんな期待をも上回るパフォーマンス、それも恐らく我々には分不相応なほどの好成績を上げてきた。

 筆者としては、米国の巨万の富(ミシシッピ州の1人当たり国内総生産=GDP=はフランスのそれにほぼ匹敵する)と、この富が与えてくれる消費者の気晴らし(特に、何も考えなくても済むデジタル版の気晴らし)が、我々が有罪判決を受けた重罪犯をホワイトハウスの主に選んだ理由の一つだと考えざるを得ない。

 米国は自らの成功の犠牲者になった。また、我々は相場の天井でトランプを高値づかみしたのではないかと筆者は危惧している。

 だが、確実なことが1つある。我々米国人は自分自身の価値観に沿って投票したということだ。

 最近の米ギャラップの世論調査では、愛国心や宗教、家族、コミュニティーを抑えて、お金が決定的な米国人の価値観であることが分かった。

 我々はその事実の恐ろしさを完全に象徴し、それ以外はほとんど何も表さないトランプという大統領をいただくことになる。

(文中敬称略)

By Rana Foroohar
 
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