イランとイスラエルの緊張関係が高まり、地政学的リスクが再び世界の注目を集めている。このような不安定な状況は、従来の金融市場だけでなく、暗号資産市場にも波及している。今回は、地政学リスクと暗号資産市場、特にビットコインとの関係を整理しながら、現在の中東情勢の悪化が今後の相場にどのような影響をもたらすかを考察する。
(松嶋 真倫:マネックス証券 暗号資産アナリスト)
リスク回避先として注目集まるビットコイン
地政学リスクが高まると、従来の金融市場では株式が売られ、安全資産とされる金や債券に資金が流れるのが一般的である。しかし、近年はビットコインも新たな逃避先として注目されるようになっている。
ビットコインは暗号資産としてはリスク資産に分類されるが、その非中央集権的な性質と限られた供給量から、金に類似する「デジタルゴールド」としての位置づけが強まっている。有事において政府や金融機関の影響を受けにくいビットコインは、特に法定通貨の価値が揺らぐ状況下で、資産保全手段としても活用されてきた。