現場での臨機応変の対応が被災者の負担を軽くする

 こうした状況の中、市民からの支援要請の受け皿になったのが、ありんこのようにすでに現地で活動していたNPOやNGOだ。それが、県主導のルートとは別のボランティア支援ルートとして機能した。

「市の災害ボランティアセンターが現地のニーズに合わせて直接人員を募集する仕組みはないが、現場で活動するNPOとは連携している。連携さえしていれば、(石川県に事前報告せずとも)NPO団体が現地でボランティアをすることは石川県も認めている」と柴田氏は話す。

 市民からのボランティア要請のルートはこの場合、市民から要請を受けたNPOが現場を訪れ、NPOが人員を確保・アサインして、作業が終了したら市の社会福祉協議会に連絡し、市の社会福祉協議会が県に報告するという流れとなる。県主導のルートは全体最適を目指す上で効果はあるが、二次災害のように突発的な事態に即座に現場のニーズに応えるには、現場主導の支援体制も有用となることがある。 

NPOが支援の空白地帯を埋めている。写真は門前町深見

 柴田氏は、「橋浦さんの事務所を清掃したありんこのような団体の多くは、現場のニーズを聞いた上で、その場で対応できる専門性を有している」という。臨機応変の対応が、被災者の負担を軽くするというわけだ。