米大統領選が迫ってきた。ここにきてハリス陣営の勢いは失速気味で、トランプ再選の可能性が高まっている。では、「もしトラ」が現実のものとなった場合、経済にどのよう影響を及ぼすのか。最悪のシナリオを考えてみよう。
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
11月5日の米大統領選挙まで残り3週間を切った。
ハリス副大統領の支持率はこれまで僅差でトランプ前大統領を上回っていたが、米NBCが10月13日に発表した世論調査で両者の支持率は48%と同率となった。
8月に民主党の大統領候補に指名されて以来、旋風を巻き起こしていたハリス氏だが、ここに来てその勢いを失いつつある。
インフレ率は収まりつつあるが、物価水準の高さは相変わらずだ。筆者は「経済面での不満からトランプ氏が再選する可能性が高い」と考えている。
トランプ氏が再選した際の外交・安全保障面での問題点は既に議論されているが、今回のコラムでは「もしトラ」がもたらす国際経済・金融面への影響について述べてみたい。
最初に指摘しなければならないのは、トランプ氏が来年1月に大統領に再び就任するまでの間に「時限爆弾」が爆発するリスクだ。