イヤホンがないと落ち着かない「イヤホン依存」

 その一つが、「もはやイヤホンがないと落ち着かない」という、イヤホンをつけ続けることの“依存性”だ。

 依存といえば、コロナ禍以降マスクを外せなくなった人が記憶に新しいのではないだろうか。顔の一部を常に隠している安心感や、素顔を見られたくないという心理から、コロナ禍が収束した今もマスクを手放せない人はいる。周囲の音をシャットアウトすることで外の世界と隔絶し、自分の世界に没入できるイヤホンは、集中しやすいといったメリットがある半面、こうした依存性にも注意が必要かもしれない。

ノイズキャンセルの性能が向上していることも背景に(写真:Katsiaryna Kollontai/Shutterstock.com)

周囲の迷惑になることも

 また常にイヤホンをつけ続ける行為は、接客する側からすると迷惑になる場合もある。最近では「お客さんに質問しているのに、イヤホンをしているせいで答えが返ってこない」「レジ袋が必要かどうか聞いても、イヤホンしている人に無視されて迷惑」など、必要なコミュニケーションができないため困っているといった声も少なからず聞かれる。

 飲食店やコンビニでのレジ会計時には、支払い方法やレジ袋の要不要など確認事項が意外に多い。しかしイヤホンをしたまま会計に進んでいると、店員の声が耳に入らず何度も店員が声をかけなくてはいけない。レジが混雑している場合はとくに迷惑になるため、問題視する声も少なくない。

 集中したい時や話しかけられたくない時、周囲の雑音を遮ってくれる無音イヤホンは確かに便利だ。しかし必要な情報までもシャットアウトしてしまうと、防犯や安全面での危険性も考えられる。耳からの情報はとても重要なので、「無音イヤホン」をするときは場面を選んだほうがよいかもしれない。