iPhoneの予測値、上振れの可能性

 ただし、このiPhoneの予測値は上振れする可能性が十分にある。その度合いは、アップルが先の開発者会議で発表したAI機能が「iPhone 16」でどれだけ成功するかや、アップルがどれだけ早く中国の現地AI企業と連携できるかによって決まるという。

 IDCによれば、アップルのAIシステムである「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」には既に多くの期待が寄せられている。これにより、iPhoneは25年に勢いを増し、買い替えが促進されると予測する。IDCは、25年におけるiPhoneの前年比成長率が4%に改善するとみている。

 IDCが先ごろまとめた24年4~6月期の世界スマホ出荷台数は、前年同期比6.5%増の2億8540万台だった。スマホ市場は23年に過去10年で最低の出荷台数を記録したが、同年後半から徐々に回復し、24年1~3月も7.8%増と好調に推移した。

 ただ、同四半期におけるiPhoneの出荷台数は4520万台で成長率は1.5%だった。iPhoneは、23年に年間出荷台数で初の首位に立ち、同年10~12月も首位だったが、翌24年1~3月に2位に転落。同4~6月も2位だった。

AIスマホの出荷台数、24年は4.4倍

 AI搭載スマホは24年に急成長を遂げるとIDCは予測する。「各メーカーの高価格帯旗艦モデルは、他のモデルとの差異化を図るために、引き続き生成AI機能を採用していくだろう」(IDCのリサーチディレクター、アンソニー・スカーセラ氏)。

 IDCによると、24年におけるAI搭載スマホの成長率は344%、つまり、出荷台数は前年の約4.4倍になる。これにより全スマホ出荷台数に占めるAIスマホの比率は18%になる。ほとんどの旗艦モデルが何らかのオンデバイス生成AI機能を採用するようになるとIDCは予測する。

 これに伴い、非AI端末との価格差はますます開いていく。「初期の生成AI対応デバイスは高価になる」(同社のスカーセラ氏)。これらのAIスマホの平均販売価格(ASP)は、非対応デバイスの2倍以上になることが予想され、プレミアム化の傾向がさらに高まると同社は分析している。