発売されたら「RX-9」の価格帯は?

 収益面からすると、RX-9を発売したとしても、販売台数はかなり限定的だろう。鳴り物入りで市場に投入された、日産自動車「フェアレディZ」やトヨタ「スープラ」の販売実績をみれば、そんな予想が成り立つ。

 仕向地としても、Zやスープラ同様、アメリカが多くなると想定され、日本の街中でRX-9と出会う機会はかなり少なくなるだろう。

23年8月、マツダ本社(宇品)工場内で視察した、ロータリーエンジン「8C」の組立工程の様子(写真:筆者撮影)

 RX-7は、価格はスポーツカーとしては抑えめで、大衆向けのスポーツカーだった。そうした観点では、Zも同じだ。

 RX-9は、庶民派スポーツカーというより、どちらかといえば富裕層向けに近い価格帯にならざるを得ないだろう。

 それでも、マツダの場合、「ロードスター」という幅広い世代に支持されているライトウェイトスポーツカーがあるため、RX-9がマツダのシンボリックな存在として「そこそこの高値」で登場することを、マツダ車ユーザーや販売店は許容するように思える。

 はたして、アイコニックSPをベースとした、RX-9は本当に登場するのだろうか?

 登場する場合、名称はRX-9、それともRX-90になるのだろうか?

 これからも、様々な機会にマツダ次期スポーツカーの可能性について、マツダの各方面と意見交換を続けていきたい。

桃田 健史(ももた・けんじ)
日米を拠点に世界各国で自動車産業の動向を取材するジャーナリスト。インディ500、NASCARなどのレースにレーサーとしても参戦。ビジネス誌や自動車雑誌での執筆のほか、テレビでレース中継番組の解説なども務める。著書に『エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?』『グーグル、アップルが自動車産業を乗っとる日』など。
Wikipedia