「育休カバー制度」の導入も

 最近では、逆マタハラ問題への対処として、産休・育休者の業務を代替する社員に手当を支給する「育休カバー」制度を導入する企業もある。

 三井住友海上火災保険は、2023年から育休を取得する社員がいる職場のメンバーに最大10万円の一時金を支給する「育休職場応援手当(祝い金)」を創設。支給額は職場の人数規模に応じて変わり、同一職場で複数名の育休取得者が現れた場合は、複数名分の一時金が支払われる。

 業務をカバーする社員にきちんと報酬を支払うことで、育休を取得する社員を快く受け入れられるような職場環境をつくることが狙いだ。

 OKI(沖電気工業)も、1カ月以上育休を取得した社員がいる場合、その社員の業務をサポートした社員に対して最大10万円を支給する「育休サポート報奨金」を2024年4月に新設した。サッポロビールやタカラトミーなどでも、育休取得者の業務をカバーした社員に対して報酬を支払う制度の導入が進められている。

 人事評価制度を工夫する企業もある。日本レーザーは、産休・育休者が担当していた業務を代替した社員を高く評価する独自の評価システムを採用。産休・育休者をカバーした社員の貢献をしっかり評価することで、社員が気持ちよく働ける職場を目指している。

 逆マタハラが認知されてきたことで、育休を取得する社員だけでなく、それを支える同僚たちもしっかり配慮されるべきだという考えが徐々に広がりつつあるようだ。