いくつかの方法があるが、第一は定数4前後の中選挙区制に戻すこと、第二はフランスのような二回投票制にすること、第三はドイツのような小選挙区・比例代表“併用”制に変えることである。

 第三について簡単に説明すると、日本の小選挙区比例代表“並立”制は、基本的に小選挙区制で、重複立候補の場合以外は比例代表の影響はない。ドイツの併用制は、まず比例代表によって議席が割り振られ、その当選者決定に小選挙区での結果を用いる制度である。従って、死票が多いという問題が減り、二大政党制ではなく多党化傾向を助長する。

 ただ、ドイツの場合、「超過議席」という制度があり、小選挙区での当選者数が比例代表での当選者数を上回った場合には、定数を超えて小選挙区での当選者全員が当選する。また、得票率が5%未満の政党は議席を得ることができない。

フランスの2回投票制

 6月30日のフランスの国民議会選挙では、極右の国民戦線(RN)とそれに連携する勢力が33.2%で首位、左翼連合の「新人民戦線(NFP」が28.0%、マクロンの与党連合が20.8%で3位であった。RNは、297選挙区でトップに立った。

 フランスの国民議会(定数577)選挙は2回投票制である。第1回目の投票で、有効投票の過半数かつ登録有権者の4分の1以上の票を得た候補がいない場合、決選投票行われる。エントリーできるのは、登録有権者の8分の1以上を得た候補者である。ただし、この条件を満たす候補が誰もいないか、1人しかいない場合は、上位2者による決選投票となる。

 1回目で当選したのは、RNが39人、左翼連合が32人、与党連合は4人であった。7月7日に、501選挙区で決選投票が行われる。また、決選投票で3人が残った選挙区は306になる。

 決選投票になる306の選挙区で、与党連合がトップで当選したのは70選挙区のみである。

 そこで、RNを当選させないために、決選投票に残った3者のうち、与党連合と左翼連合が協力して、自らの候補を撤退させ、反RN勢力の一本化を図っている。今のところ、221の選挙区でこれが行われることになった。そのため、RNが単独で過半数を獲得することはなさそうである。

 第1回投票では、多数の政党から候補が出るが、決選投票では、二つの勢力にまとまる。このフランスの制度は、比例代表制のような政治の不安定を回避し、かつ、小選挙区制の持つ小政党排除というマイナスを抑える効果がある。

 日本の場合、2009年の政権交代は、民主党が一つの大きな塊だったからこそ可能だったのである。「反自民・非共産」というスローガンは、多くの有権者を引きつけた。ところが、その民主党は、今は立憲民主党、国民民主党などに分裂している。これでは、小選挙区制であっても、どうにもならない。

 野党を大同団結させることのできる政治指導者は出現しないのだろうか。

【舛添要一】国際政治学者。株式会社舛添政治経済研究所所長。参議院議員、厚生労働大臣、東京都知事などを歴任。『母に襁褓をあてるときーー介護 闘いの日々』(中公文庫)『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書)『舛添メモ 厚労官僚との闘い752日』(小学館)『都知事失格』(小学館)『ヒトラーの正体』『ムッソリーニの正体』『スターリンの正体』(ともに小学館新書)『プーチンの復讐と第三次世界大戦序曲』(インターナショナル新書)『スマホ時代の6か国語学習法!』(たちばな出版)など著書多数。YouTubeチャンネル『舛添要一、世界と日本を語る』でも最新の時事問題について鋭く解説している。