【特牛灯台】一人静かに夕日を眺めるなら
特牛灯台(こっといとうだい、山口県下関市)は、“地味さ”が大きな魅力です。
目立つ岬にあるわけではないうえに、港のはずれから、つづら折りの山道をのぼっていかなければならないので、訪れる人はおそらくほとんどいません。
奥行きが500mぐらいある細長い特牛港(こっといこう)の防波堤近くに、特牛灯台へののぼり口があります。手すりが付いたりっぱな階段ですが、なにも案内はありません。
りっぱな階段はすぐ終わり、普通の山道になって、つづら折りでのぼっていきます。
道に迷うことはないのですが、路面が崖下側に傾いているところがあります。崖はかなり急峻で危ないので、落ち葉で(とくに雨上がりでぬれているとき)滑らないように慎重に歩いてください。
つづら折りの上り坂が終わり、尾根を少し進みます。木立を抜けて明るいところに出ると一気に視界が開け、特牛灯台の頭だけと海が見えました。期待が高まります。
木がない小さな広場から一段下がったところ一段下がったところで、ようやく特牛灯台に対面です。
特牛灯台が建設されたのは意外に古く、1912年(明治45年)です。このころになると、日本で西洋式灯台が造られ始めた明治初期のデザインから、次第に解き放たれていったのがわかります。
下部の灯塔はコンクリート造で、六角形なのがカッコイイ。上部の灯籠は鉄造ですが、当初のものから作り替えられたという情報もあります。
午後の日差しで輝く響灘(ひびきなだ)の海面を、一人静かに見つめる。貴重な時間です。
海に沈む夕日を見ながら、灯台が点灯するのをゆっくりと待つのもいいかもしれません。ただ、暗くなってから山道を戻るのは危ないので、気をつけてください。
もっと詳しくは
きれいな形、無名、やま道アリの三拍子揃った特牛灯台