クラファン時代の存在意義は?

 敗戦の混乱期から始まった羽根募金は、数々の問題点も指摘されてきました。ここに紹介した羽根募金についても、過去、募金を横領して職員が刑事罰を受けた例はいくつも存在します。また、実施団体の経理が不透明ではないかとの疑問や、団体の事務経費が高すぎて寄付としての効率が悪いとの指摘も繰り返されています。

 とくに学校や保護者会、あるいは町内会などを通じて回ってくる「募金のお願い」は長年、大きな議論を呼んできました。本来、寄付は自発的なものであるはずなのに、町内会のお知らせでは「1世帯500円」のように金額が事前に指定されているケースが珍しくない、事実上の強制ではないか、といった内容です。新聞の「読者の声」欄などで、こういった疑問に関する意見が飛び交ったこともありました。

 一方、近年では寄付の舞台は、地域・学校などからネットを使ったクラウドファンディングに移ってきました。クラファンは募金を集める段階で使途が具体的に示されており、集めてから具体的な交付先が決まる「赤い羽根」のようなスタイルではありません。

 単にスマホが浸透したというだけでなく、自分の寄付が何に使われるのか詳細にわかる点もクラファンの優位性でしょう。さまざまな色の羽根募金の将来は、こうした使途の明確化と深く関係しているのかもしれません。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。