最古の「赤い羽根」、戦災孤児などへの支援が原点

 緑の羽根と同様に古い歴史を持つのが「赤い羽根」共同募金です。毎年10月〜12月が全国一斉の募金期間。かつてほどではないものの、秋から冬になると、上着の襟に赤い羽根を付けた人が大勢見られるようになります。

 赤い羽根は緑の羽根よりも3年早い1947年に始まりました。当時の目的は、戦争で親を失った戦災孤児、東南アジアや中国など日本本土以外からの引き揚げ者らに対する支援に充てるためでした。戦争の被害は本来、国家予算を充てるべきですが、やはり敗戦後の厳しい予算事情がそれを許さなかったようです。初年度の募金総額は約6億円で、現在の貨幣価値に換算すると、1200億〜1500億円だったと言われます。

赤い羽根共同募金のキックオフイベント=2023年10月撮影(写真:つのだよしお/アフロ)

 1951年になると、赤い羽根共同募金は社会福祉法(当時は社会福祉事業法)に規定されました。各都道府県に設立された共同募金会は、募金活動および寄付金の分配を通じた福祉事業を担います。

「中央共同募金会」は各地の募金会の連絡調整や企画・広報を行う団体として位置づけられました。戦争の傷跡が癒えてくると、赤い羽根共同募金の使途も次第に多角化。2022年の使途は生活困窮者支援、災害時支援、いじめ防止、ヤングケアラー支援、子ども食堂など暮らしに関するあらゆる分野に広がっています。

 ただ、赤い羽根共同募金の募金総額は近年、減り続けています。ピークだった1995年度の約266億円。これに対し、2022年度は約168億円に留まり、100億円近くも減らしました。中央共同募金会は「過去76年間の募金実績は総額で1兆円を超す」としていますが、減少傾向に歯止めは掛かっていません。