「違憲」「合憲」の境界は?

 先述したように1972年の衆院選は1票の格差が4.99倍に達し、戦後最悪となった選挙です。これを違憲とする訴えに対し、最高裁は1976年に初めて「憲法違反」とする判決を下しました。

 一方、行政の決定を取り消すと公共の利益に著しい損害を与えるため、違法・違憲であっても取り消しはしないという「事情判決」の法理を用い、選挙の無効は認めませんでした。

 それでも、この判決をきっかけとして裁判所は次第に「違憲」「違憲状態」という判決を下すようになります。これまでの判決を見ると、最高裁は「1票の価値に著しい不平等が生じている場合」「不平等状態が長期間続いているにもかかわらず、国会が是正措置を怠っている場合」という2点を判断基準にしているようです。

 両方を満たしていれば「違憲」、前者のみであれば、「違憲状態」。双方とも満たしていなければ「合憲」というわけです。