北朝鮮戦に臨む女子日本代表。(前列左から)清水梨紗、藤野あおば、植木理子、長野風花、長谷川唯、(後列左から)田中美南、古賀塔子、高橋はな、南萌華、GK山下杏也加、熊谷紗希(写真:共同通信社)

 パリ五輪サッカー女子アジア最終予選第1戦ではすっかり北朝鮮に翻弄されたなでしこジャパンだったが、なんとか無失点に収めて0-0の引き分けに持ち込んだ。パリ五輪出場権の行方は、東京で28日に行われる第2戦に持ち越しとなった。

北朝鮮との相性は決して良くない

 北朝鮮との試合は当初、アウェーの平壌での第1戦が予定されていたものの、中立地開催がアジアサッカー連盟(AFC)から提案され、すったもんだの挙句、開催地が第三国のサウジアラビアに決まったのが試合の3日前のこと。サウジアラビアのプリンス・アブドゥッラー・アル・ファイサル・スタジアムでの開催となった。

 なでしこジャパンは2021年の東京五輪では開催国として予選は免除されていたが、その前の2016年リオ五輪は予選敗退の憂き目に遭っている。そのため今回オアジア最終予選は、2012年のロンドン五輪以来の予選突破をかけた大一番となった。

 しかし、直前に試合会場がサウジアラビアとなり、極寒の日本で合宿していたなでしこの選手たちは“真夏”に等しい場所に移動し、気温31度での試合となった。これは日本よりも寒い北朝鮮も同じ条件なのかとも想像ができるが、北朝鮮のチームがどこからサウジアラビアに来たのかも分かっておらず、もしかして想定をサウジアラビアとして暖かな場所で練習をしていたのかもしれない。中立国での試合にはほとんど観客はおらず、歓声や拍手も起きない寂しい試合となった。

 FIFAランクでは日本が8位で北朝鮮は9位と拮抗しているが、昨年のW杯で見事な試合を進めたなでしこジャパンが有利ではないかと少々気楽に試合を観戦していたのだが、試合開始早々、それは甘い考えであったことを思い知らされた。過去に日本は北朝鮮に対して7勝5分け12敗であり、アジアの国では最も相性が悪い相手である。「もしかして…」という考えが頭を過ることになる。