60回目のミュンヘン安保会議開催前、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はドイツとフランスを訪問し、2国間の安全保障協定を締結した。
1月12日には英国のリシ・スナク首相がウクライナの首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領との間で2国間の安全保障協定を締結済であった。
これらは、2023年7月に先進7か国(G7)首脳会議において採択された共同宣言に基づくものである。
ドイツは、第2次世界大戦後初めて他国の安全を保障する役割を担うことになった。この調印式は歴史の転換点を象徴するものであった。
これに加えて、ドイツは新たに「ミュンヘン・パッケージ」と呼ばれる約11億ユーロ(約1800億円)の軍事支援の追加を公表した。
新たな軍事支援は砲兵火力を主体とする対地火力および防空システムを構成する対空火力の2本柱からなる。
一般に、戦争は複数の作戦および複数の戦闘から構成される。古今東西の戦史を紐解けば、火力は極めて重要な役割を果たしている。
このため、対地火力で重要な役割を果たす砲兵は「戦闘の王者(King of Battle)」と呼ばれる。
本稿はドイツのウクライナへの軍事支援を踏まえ、国際社会が一致団結して、ロシアとの砲弾獲得競争に勝つことの重要性について考察するものである。