12月の金融政策決定会合の後に会見した日銀の植田総裁(写真:ロイター/アフロ)
  • 2023年最後の日銀金融政策決定会合では、マイナス金利の解除はなく、現状維持で決まった。
  • もっとも、2024年という時間軸で見た場合、マイナス金利の解除は既定路線。あとは「いつやるか」というくらいしか論点は残っていない。
  • 政治日程を考えると実は簡単ではないが、5月の多角的レビューを踏まえた6月か7月が有力なのではないか。

(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)

残る論点は「いつやるか」だけ

 注目された2023年最後となる日銀金融政策決定会合だが、結局は現状維持で決定した。会合前に注目された「チャレンジング発言」について、日銀の植田総裁は今後の取り組み姿勢を問われたので「一段と気を引き締めて」という意味で発言したと述べた。案の定の結末である。

 総裁会見においても、賃金・物価の好循環(いわゆる第二の力)に関しては「なお見極めていく必要がある」と発言。今後についても「焦って政策変更は不適切」と述べるなど、明確なゼロ回答を提示した格好である。この答弁を見る限り、1月のマイナス金利解除も視野からは消えたと考えてよいだろう。

 もっとも、12月6日の講演で、日銀の氷見野副総裁が「全部青信号がともることは実際の経済ではない。いろいろなシグナルが混じる中で判断する」と言っていたように、経済・金融情勢に多少の疑義が残ってもマイナス金利解除に踏み込む可能性はある。

 2024年という時間軸で見た場合、マイナス金利解除は既定路線であり、あとは「いつやるか」というくらいしか論点は残っていないのも事実である。

 では、改めてマイナス金利解除時期をどう考えるべきか。

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