米アップルが、自社のアプリストア「App Store」内で音楽配信事業者に義務付けている独自規約について、欧州連合(EU)の欧州委員会が近く禁止を命じ、同社に巨額の制裁金を科す見通しだと、英ロイター通信や米ブルームバーグが報じている。
アップルのApp Storeでは、音楽配信事業者に対し、他のサブスクリプション(定額課金)手段をiPhoneやiPad用アプリの利用者に伝えることを禁じている。欧州委はこの規約がEU競争法(独占禁止法)に違反すると疑っており、その対応措置について最終調整段階に入っている。
欧州委による正式な禁止決定は2024年初めになるとみられており、アップルは年間売上高の10%に相当する制裁金を科される可能性があると、ブルームバーグは伝えている。
欧州委「消費者の選択肢を狭め、事業者の利益を損ねる」
欧州委は20年、スウェーデンの音楽配信大手スポティファイ・テクノロジーの苦情を受けて調査を開始した。スポティファイは、アップルの決済システムを利用するよう強制され、月額料金を値上げせざるを得ない状況に追い込まれたと主張した。
調査を進めてきた欧州委は23年2月、EU競争法違反の疑いがあると警告する「異議告知書」をアップルに送付した。異議告知書は、競争法に関する欧州委の暫定的な見解を示すものだ。その中で、アップルが定める独自の禁止事項は、(1)必要不可欠あるいは相応ではなく、(2)音楽配信サービスの利用者にとって有害であり、利用者は結果的により多くの料金を支払う可能性がある。加えて、(3)消費者の選択肢を狭め、音楽配信事業者の利益を損ねる、と指摘した。