欧州連合(EU)の欧州委員会で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー執行副委員長は、オランダ当局の命令に従わない米アップルを批判した。ロイターが2月23日に報じた。
ベステアー氏「罰金を払い続けることを好んでいる」
ベステアー氏は、アップルとオランダの消費者・市場庁(ACM)のアプリストア決済を巡る対立を例に挙げ、「一部の支配的なプラットフォームは、時間稼ぎをしたり、ルールを回避したりする道を選ぶようだ」と指摘した。
出会い系アプリ運営会社の苦情を受けアップルを調査していたACMは21年12月、アップルがスマホ「iPhone」などのモバイル端末のアプリストアで、開発者に対し外部決済を使えないようにしているのは競争法に違反すると結論付けた。そのうえでオランダ国内で配信する出会い系アプリに対し、外部決済手段の導入を認めるよう同社に命じた。
これに対しアップルは「利用者の利便性とセキュリティーが損なわれる」と反論。当局の決定を不服として控訴している。その一方で、アップルは地域限定で外部決済を容認する意向を表明している。
ただ、同社は妥協案として、出会い系アプリの開発者に対しオランダでしか使えないアプリを新たに用意するよう求めている。また、その場合でもアプリ配信手数料として決済額の27%を請求するとしている。米ニューヨーク・タイムズによると、アップルは決済情報を自社に提供するようにも求めているという。
ロイターの別の記事によると、こうしたアップルの対応をACMは認めていない。「開発者に不当な負担をかけており、命令に従っていない」とし、これまで5週連続で500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科した。
アップルがオランダ当局から科された罰金総額は2500万ユーロ(約32億2000万円)になる。だがACMによると、アップルからの新たな提案はまだないという。ACMは「これまでアップルに対し明確な説明をしてきたが、彼らは問題解決に真剣に取り組むことを拒んでいる」と批判している。
欧州委のベステアー氏もアップルを非難している。22年2月22日に米国で開催されたイベントにオンラインで登壇したベステアー氏は「アップルは基本的にオランダ当局の決定に従うよりも、罰金を払い続けることを好んでいる」と述べた。
今回アップルがオランダで取った対応は、他国の規制当局が同様の変更を同社に求める際も繰り返されるだろうとニューヨーク・タイムズは報じている。