若い女性たちがホストに貢ぐために、多額の借金を抱えたり、性風俗業で働いたりする実態が連日報道されている。これを受けて、12月5日、歌舞伎町におよそ200店舗あるホストクラブを代表する経営者13人と新宿区は対策を協議。売掛金(ツケ払いのシステム)を来年4月からやめるとともに、反社会的勢力との関係を断絶していく意向も発表された。
だが、本当にそんなに潔く変わることができるのだろうか。ホストクラブではどのように女性たちに高額の支払いをさせているのか。一般社団法人「青少年を守る父母の連絡協議会」(通称 青母連)を歌舞伎町に設立し、ホストにハマった女性やその家族の支援をしている玄秀盛代表に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──ホストにハマる女性たちは、俗に「ホス狂い」などとも呼ばれます。どのような女性がホストにハマっていくのでしょうか?
玄秀盛氏(以下、玄):どちらかというと豊かな家庭から出てきた女性が多いですね。一人暮らし、地方の出身、ちょっとメンタルが弱く、一生懸命勉強してきたような、男性経験が少ない女性です。親もしっかりしていて、大学や大きな会社への就職が決まり東京に出てきた。そういう真面目な女性が引っかかるケースによく出会います。
──地方から出てきた女性が多いのですか?
玄:地方出身が圧倒的に多く、全体の8割以上だと思います。東京に住んでいる女性は実家から通勤や通学しているケースが多く、一人暮らししているケースは少ない。さらに、都会慣れしているから「渋谷で遊ぶのは大丈夫だけれど、歌舞伎町は危ない」という認識を自然と持っています。
──「青母連」に相談に来る方は、どれくらいの年齢の方が多いのですか?
玄:二十歳前後の娘を持つ家族が多いですね。被害者は18歳から23歳くらいが特に多い。これくらいの年齢の女の子たちが性風俗業にとって最も需要があるからです。
──女性たちはどのようにしてホストにハマり、売掛金を増やしていくのでしょうか?
玄:ホストは巧みな恋愛詐欺商法を使います。まず、SNSなどを通じてターゲットを引き付け、自分たちが配信しているものにリツイートやハートを付けたりしたら、「1回会いませんか」とメッセージを送る。巧みな話しぶりで3000円の体験入店まで持っていく。
女の子が初来店した段階で「この娘ならあそこに売れる」「このくらい稼げそうだ」という想定まで立てる。「この娘はキャバ(キャバクラ)」「この娘はデリヘル(デリバリー・ヘルス)」なんて考えながら値踏みをするそうです。
初日は、体験入店でいい気分にさせてLINEを交換するぐらいで十分です。「今日は運命の出会いだったね」などとメッセージを送り、翌日の「おはよう」から始まって、日に100回くらいメッセージを送っていく。
そのうちに、家族や仕事に対する愚痴を含め、女の子のいろんな話を聞き出していく。女の子からしたらかっこいい男の子から優しいお姫様扱いをしてもらえるので気持ちがいい。
2回目の来店では3万円使い、「やっぱり私この人が好きだ」と女性は実感する。ホストはこの段階で女性客をホテルに連れて行き、体の関係を持ちます。まず惚れさせる。これが常套手段です。よく売れそうな娘を仕込んでいくのです。3回目の来店では、ボトルを入れて、30万円くらいポロっと出してしまう。