大阪城天守閣を望むように建立された豊臣秀頼公像

 NHK大河ドラマ『どうする家康』で、新しい歴史解釈を取り入れながらの演出が話題になっている。第45回「二人のプリンス」では、豊臣秀頼の成長とともに、再び豊臣家が勢いづき始めたことを徳川家康は警戒。秀頼を二条城に呼びつけて、権威を見せつけようとするのだが……。今回の見所について、『なにかと人間くさい徳川将軍』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。(JBpress編集部)

意外と巨漢だった豊臣秀頼

 これほどまで存在感のある人物だったとは……。『どうする家康』の第45回「二人のプリンス」を見て、そう驚いた視聴者も多かったのではないだろうか。豊臣秀吉と側室の淀殿との間に生まれた豊臣秀頼のことである。

 前回の放送では、幼い秀頼が成長する様子が、柱の傷を用いて表現されて話題になった。実際に秀頼は巨漢だったらしい。江戸中期に成立した逸話集『明良洪範(めいりょうこうはん)』によると、次のようにある。

「大兵にて御丈6尺5寸余り」

 身長が約197cmというから、大男といってよいだろう。作間龍斗演じる秀頼はシュッとしたイケメンだが、実際の秀頼は横にも幅があったようだ。後藤又兵衛の小姓である長澤九郎兵衛の覚書『長澤聞書』によると、「世に無き御太り」ともある。ドラマよりもさらに威圧感のある青年だったのかもしれない。

 大阪府の玉造稲荷神社には、豊臣秀頼公像が建てられている。多くの識者が協力して当時の秀頼の姿を再現したもので、大阪城天守閣を望むように建立された。この堂々たる秀頼像をみれば、家康が警戒するだけあって、天下人としての風格が備わっているように思う。

 大河ドラマは、自分がこれまであまり注目してこなかった人物について、その魅力を教えてくれるのが醍醐味の一つ。秀頼をお飾りのトップではなく、家康や息子の秀忠をも脅かす、魅力ある難敵として描いたことで、最終回まで盛り下がることなく物語を楽しめそうだ。