10年前と20年前の状況

 再び米国市場上場銘柄だけの話に戻りますが、株式の保有状況を円グラフで示すと、運用の中身がどうなっているのかイメージがつかみやすいです(図2)。アップルが金額シェアで米国市場上場銘柄の51.0%を占めています。第2位以下はバンク・オブ・アメリカが8.5%、アメリカン・エキスプレスが7.6%、コカ・コーラが6.9%という具合に、第8位までで89.1%を占めています。第8位のムーディーズのシェアは2.5%です。

■図2:保有銘柄の金額シェア(2023年6月30日時点)

バークシャー・ハザウェイの保有銘柄の金額シェア(2023年6月30日時点)
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 第9位以下はぐっと保有比率が小さくなってしまい、第9~16位の8銘柄を合わせて金額で207億ドル強、ウエイトで6.0%になります。さらにそれ以下となると、本当に保有金額も少なく、46位までの30銘柄をすべて合計して金額で170億ドル強、ウエイトで4.9%にすぎません。いかにバークシャー・ハザウェイが集中投資型の運用をしているかがうかがえるでしょう。

 バークシャー・ハザウェイの運用内容が歴史的にどう変わってきたのか、細かく見るときりがありませんので、バフェットさんが83歳だった2013年9月末の状況と、73歳だった2003年9月末の状況、つまり、今から10 年前と20年前にどんな銘柄を持っていたかを円グラフで示してみます。上段が2013年9月末の状況(図3)、下段が2003年9月末の状況(図4)です。

■図3:保有銘柄の金額シェア(2013年9月30日時点)

バークシャー・ハザウェイの保有銘柄の金額シェア(2013年9月30日時点)
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■図4:保有銘柄の金額シェア(2003年9月30日時点)

バークシャー・ハザウェイの保有銘柄の金額シェア(2003年9月30日時点)
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 米国市場上場銘柄の保有額のうち、上位8銘柄が占める割合は2003年で85.4%、2013年で78.6%、2023年で89.1%でした。これがどれくらい集中投資型の運用なのかというと、たとえばプロの運用担当者が組み入れ銘柄を選ぶ日本株投資信託で割と人気がある「ひふみ投信」(運用会社はレオス・キャピタルワークス)は2023年7月31日現在での上位10銘柄への集中度が18.5%となっています。

 銘柄を絞った運用で定評がある「JPMザ・ジャパン」(運用会社はJPモルガン・アセット・マネジメント)も組み入れている銘柄数は57と、バークシャー・ハザウェイが保有している米国市場上場銘柄の46と大きな差はありませんが、上位10銘柄への集中度は36.2%に抑えられています。