IBMへの投資は思惑通りにいかず

 2007年には貨物鉄道のバーリントン・ノーザン・サンタフェに投資し、その後、バークシャー・ハザウェイの一事業部門として取り込みました。2008年に投資を始めた中国の電気自動車メーカー・BYDは多額の利益をもたらしましたが、2022年夏から売却過程に入っています。

 大手銀行への投資は1994年以前から保有していたウェルズ・ファーゴ、2006年に取得したUSバンコープ、2010年に取得したニューヨークメロン銀行、2013年に取得したゴールドマン・サックス、2018年に取得したJPモルガン・チェースなどがありますが、今日では2017年に取得したバンク・オブ・アメリカ一本に絞り、他社は売却しました。

 2007年にクラフト・フーズに投資し、同社が2015年にハインツと経営統合してクラフト・ハインツになる過程では、バークシャー・ハザウェイは投資ファンドの3Gキャピタルとともに主導的な役割を演じ、多額の追加投資をしましたが、バフェットさんはのちに「出資額が大きすぎた」と失敗を認めています。クラフト・ハインツは現在でもバークシャー・ハザウェイの持ち分法適用の関連会社です。

 IBMへの投資は2011年から2018年まで。肝いりだったにもかかわらず、思惑通りにはいきませんでした。2016年には航空4社に投資しました。しかし、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年4月にすべて損切りしました。

 アップルへの投資を始めたのが2016年1~3月期でした。当時は市場関係者に「買うのが遅すぎたのではないか」などとささやかれましたが、その後に巨額の投資収益を確保し、バフェット神話の復活につながりました。

 2020年8月には日本の大手商社5社の株式保有を明らかにしました。その後、大幅に買い増し、2023年8月現在では時価保有額が5社合わせて2兆7000億円ほどになっています。