(舛添 要一:国際政治学者)
イスラエルによるガザ攻撃は続いている。地上戦も事実上始まった。死傷者の数は激増し、ガザで9000人以上が死亡し、イスラエル側の死者と合わせて1万人を超えている。
イスラエル軍は、10月31日から3日続けてジャバリヤの難民キャンプを攻撃し、195人が死亡した。また、ガザ市を包囲し、本格的な地上侵攻を開始し、ハマスの戦闘員と市街戦を展開している。
一方、エジプト国境のラファ検問所から日本人を含む外国人約360人が退避し、負傷者約80人が救急車で搬送された。
バイデン大統領の言う戦闘の「一時停止」は可能か?
イスラエルとハマスの戦闘に関して、停戦の見通しはまだ立っていない。
11月1日、バイデン大統領は、ガザから外国人の退避が始まったことについて、「アメリカ外交の成果だ」と強調し、カタールが仲介の労をとったことに感謝した。そして、人質を助け出すために、戦闘の「一時停止(pause)」が必要だとの認識を示した。
外交交渉によって人質を解放し、それを停戦につなげるという構想である。そのようなアメリカ外交が功を奏するのかどうか不明だが、1日にはサウジアラビアのハリド国防相がワシントンでオースチン国防長官やブリンケン国務長官と会談した。また、ブリンケンは、3日にイスラエルとヨルダンを訪問する。