だが、今回はこの取材のためにバルセロナに来たわけではない。目的はガウディやら磯崎新やらを見るためであった。3カ月ほど前にバルセロナ行きを決めた時、日建設計の人に「バルセロナにSpotifyカンプ・ノウチームの人はいますか」と聞いたのだが、「チーム全員、日本に戻ってきました」と寂しそうな顔で答えたので、「聞いちゃいけないことだったか」と取材予定から外していた。
筆者が出国する数日前に、念のため日建設計にSpotifyカンプ・ノウのことを確認すると、「ちょうど解体工事が始まったところで、設計チームが宮沢さんと同じタイミングでバロセロナに打ち合わせに行きます」との答え。なんと!! 自分の引きの良さを褒めたい。しかも、現地に行ってみると解体の絵ヅラがすごかった。これは、日本のサッカーファンのために速報せねば。
重機がこんなに間近に並んでいる姿は日本では目にしない。解体の本気さを伝えるメッセージのよう…。
テラスがある意味が、現地の賑わいを見てわかった!
現Spotifyカンプ・ノウは1957年完成。サッカー好きなら誰もが知るFCバルセロナの本拠地だ。収容人数は約9万9000人。これを10万5000人に拡張する。収容人数を増やすことよりも、総合的な快適性を高めることが主目的だ。
FCバルセロナグッズのショップに、新スタジアムの外観パースがデカデカと飾られていた。
コンペ案から見た目は大きく変わってはいない。提案の最大の特徴は、スタジアムの外周を取り巻く半屋外のテラスだ(コンペ案ではコンコースと呼んでいた)。大規模競技施設にこんなにゆったりしたテラスがあるのは珍しい。