インドネシア北部にあるスマトラ島のシンガポールに近いリアウ諸島州にあるレンパン島で、中国企業の開発計画により立ち退きを迫られている先住民族らが計画撤回を求め反対運動を激化させ、警察部隊と衝突、負傷者が出るほどの事態になっている。
この開発計画はジョコ・ウィドド大統領が7月に中国の習近平国家主席との間で交わした合意に基づく国家事業であるため、政府側はこれまでのところ先住民族らと妥協する様子を見せておらず、緊張状態が続いている。
2024年2月に任期を終えるジョコ・ウィドド大統領としては、国家事業推進で最後の実績を残したいという考えとともに、「親中姿勢」を最後まで貫き、中国に配慮したというシグナルを中国側に送っておきたい意向を持っているものと見られている。
デモ鎮圧部隊の催涙弾が中学校に
9月7日にレンパン島先住民などの住民がバタム港湾区運営庁前で大規模なデモを行い警察部隊と衝突した。この際に警察部隊はデモ隊に対して催涙弾を使用し、一部の催涙弾が近隣の中学校に誤って飛び込み、中学生や居合わせた住民に抱かれた乳幼児が一時呼吸困難に陥る事態となり、地元やジャカルタのメディアの大々的な報道をきっかけに、たちまち全国ニュースとなった。