団体旅行解禁で、中国訪日客数は順調に回復するか?(2017年1月撮影、写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

中国から日本への団体旅行が解禁された。ただ、航空便数がまだあまり増えていないこと、旅行費用が大幅に値上がりしていることなどから、今後の訪日観光客数が順調に回復するかどうか、不透明な部分もある。(JBpress)

(加藤勇樹:中国広東省在住コンサルタント)

訪日客の本格回復は秋以降か

 中国政府は8月10日、日本を含む78カ国を対象に、中国からの団体旅行を解禁しました。

 中国の海外渡航政策をつかさどる文旅部は、2023年春から国外団体旅行の再認可や渡航制限を部分的に解除していて、2023年7月までにマレーシアやタイといった東南アジアを中心に60カ国への渡航が正常状態に戻っていました。今回の施策では、日本以外に韓国、トルコといったアジア圏、イギリスやドイツなどの欧州圏、米国などが含まれていて、これで計138カ国の渡航制限が解除されたことになります。

 2023年上半期の中国発国際便(航空機)の旅客者数は2019年の同期比で23%でした(「2023年上半年出境旅游大数据报告」)。6月だけを見ると同41%に増えてはいるものの、今回の団体旅行解禁で急激に旅客者が増えるかどうかは見通せません。

 また、同じく今年上半期に中国本土からの観光客は4037万人でしたが、行き先の約78%は厦門(アモイ)と香港です。タイ(3.3%)、日本(2.4%)が続きますが、人数は非常に少ないことがわかります。

 では、今回の渡航制限の解除で、訪日客はどうなるでしょうか。

 まず中国国内での反応を見てみましょう。中国大手旅行サービスプラットフォームであるCtrip(携程)では、国外旅行に関する検索回数が20倍以上に増加しました。日本旅行についても3倍以上増加しています。また、ネットコミュニティでは、日本旅行について、ビザ申請法や見どころ紹介の話題でにぎわっています。

日本旅行についての話題でにぎわう中国のネットコミュニティRED(小红书)

 ただ「日本への渡航は秋口の大型連休である国慶節休暇や、中秋節にしよう」という声が目立っています。また肝心の航空便数が緩やかにしか増えていないので、中国からの観光客が目立って増えるのは秋ごろからではないかと、予測します。