地方移住をめぐる“炎上”が目立っている。愛媛県新居浜市や高知県土佐市では地域おこし協力隊員と住人との対立がネットで拡散、福井県池田町では集落で暮らすための「七か条」が波紋を呼んだ。コロナ禍での移住促進ムードが一転、ここ最近はなんとなくネガティブな風潮が漂っているようにも映る。協力隊制度や農山村への移住に詳しく、自身も過疎集落に身を置く徳島大学の田口太郎准教授が解説する。(JBpress)
(田口太郎:徳島大学大学院准教授)
ほっとけないこのネガティブさ
最近、SNSなどで農山村での移住や地域おこし協力隊にまつわる“炎上”が多発し、いわゆる「田舎」の社会自体がネガティブに捉えられるような話題が増えている。
なぜこれほどまでにネガティブな話題に注目が集まるのか。
こうした出来事は、最近新たに起こるようになった特殊な出来事なのかというと、そうではない。これまでも個人ブログなどで拡散されることは多々あった。それが、SNSや動画共有サイトというメディアの普及が拡散を爆発的なものにした、というのが現実だろう。
だからといって、こうした出来事を「当たり前のこと」「以前からあったこと」として放置していても問題がある。
自身も過疎地域に移住し、地域の研究をしている身として、問題が発生する背景を論じてみる。