(英エコノミスト誌 2023年7月29日号)

サンクトペテルブルクで開催されたロシア・アフリカ首脳会議に出席した面々(7月28日撮影、写真:ロイター/アフロ)

ロシアによる食糧の兵器化はアフリカ大陸への冷笑的なアプローチを反映している。

 ウラジーミル・プーチン大統領が外交面でここまで孤立したことはなかった。ウクライナ侵攻が昨年始まってから、プーチン氏に会いにロシアを訪れた国家元首や首脳はほとんどいない。

 このため7月27日、ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた2回目のロシア・アフリカ首脳会議にアフリカの政治指導者たちが姿を現したことは、プーチン大統領にとって大きな成果だった。

 しかし、その出席状況からはアフリカ大陸に対するロシアの影響力の限界もうかがえる。

 報道によれば首脳が参加したのは17カ国のみだ。これでは、2019年に開かれた1回目の43カ国の半分にも満たない。

アフリカ諸国とロシアの微妙な関係

 この出席率はロシアに対するアフリカの葛藤を浮き彫りにしている。

 アフリカ54カ国のうち19カ国は、紛争開始から1年の間に国連総会で行われた5回の決議のほとんどでウクライナを支持した。同じようにロシアを支持した国は2カ国にとどまった。

 総じて言えば、決議の52%でアフリカ諸国は棄権するか欠席している。

 アフリカ諸国がこうした姿勢を取る理由は1つだけではない。

 まず、アフリカにはロシアと親密なエリート層が支配する独裁国家がいくつかある。数カ国は民間軍事会社ワグネルのロシア人傭兵を受け入れている。

 旧ソビエト連邦との結びつきを自分たちに都合の良いように思い出したり、西側の外交政策を本能的に疑ったりしているところもある。

 そして大半の国々は、地政学的な変化のせいで様々な方向に引っ張られているのだから、どちらかに肩入れするのはやめて釣り合いを取ろうとする方がいい、と感じている。