(英エコノミスト誌 2023年7月22日号)
国際法を守りながらロシアに戦争の費用を負担させる方法
西側諸国の政府は2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシアの民間人が外国に保有している資産をこれ見よがしに取り締まってきた。
オリガルヒ(新興財閥)のヨットを差し押さえたり、ロシア人所有のサッカークラブを売却させたりした。
だが、本当に多額の資金には大きな疑問符が付いたままだ。
ロシアの中央銀行が西側の口座に預けていたおよそ3000億ドルの資産が制裁の結果として凍結されている。
ロシアが隣国にもたらした恐怖を思えば、この凍結資産を賠償金やウクライナ復興費用の一部に充てようという発想が出てくるのは当然だ。
道徳的な根拠と法的な根拠
ロシアに支払わせることの道徳的な根拠は、今さら説明するまでもない。ロシアは挑発されたわけでもないのに戦争を始め、文民の命にも配慮せず、国際法にたびたび違反している。
ウクライナが被った損害は甚大だ。世界銀行の最新の推計によれば、復興に要する費用は4110億ドルに及ぶ。しかもこれは、カホフカ・ダムが破壊される前にまとめられた数字だ。
これでは現在の国内総生産(GDP)が1500億ドルほどのウクライナにはとても手に負えない。西側諸国の納税者が全額負担しなければならない性格のものでもないはずだ。
しかし、西側諸国がどんな手段を講じようと、それは必ず国際法に従ったものでなければならない。