インフレに強い資産とは?

 ただ、それは簡単なことではない。舵取りを一つ誤れば、欧州や米国のようにインフレが過熱する可能性がある。下手を打つと、南米の一部のようなハイパーインフレの到来もないとは言い切れない。

年率100%を上回るインフレに見舞われているアルゼンチン。首都ブエノスアイレスにある精肉店の店頭価格は毎日のように書き換えられる(写真:AP/アフロ)

 年金受給者もやはりインフレ対策は欠かせない時代になったのだ。

 それは今後の受給者層にとっても大事なことだ。現在の50歳以上は大幅な年金カットを免れる「年金逃げ切り世代」と言われている。それでも、インフレに喘ぐ高齢者を対岸の火事と思わず、老後のインフレ対策をしっかりしておく必要がありそうだ。

 ではどのような対策が考えられるのか?

 インフレに強い資産として真っ先に名前が挙がるのは、貴金属や不動産といった「実物資産」だろう。モノの値段が上がるインフレの時期には実物資産も相応の上昇が期待できる。総資産の1~2割をメドに保有しておくと安心だとされる。

 株式もインフレに強いと言われるが、原材料価格の高騰を価格に転嫁しやすいかどうかなど、会社によってインフレ耐性には濃淡があり、投資経験の乏しい人がいきなり手を出すのは慎重に考えた方がいいかもしれない。