米グーグルは、自社の検索エンジンを韓国サムスン電子のスマートフォンに継続提供できることになった。サムスンは過去10年以上にわたり、スマホの標準検索エンジンにグーグル検索を採用してきたが、ここ最近、米マイクロソフトの「Bing(ビング)」に切り替えることを検討していた。しかし、米ウォール・ストリート・ジャーナルやロイター通信によると、サムスンは社内調査の結果、現時点ではこの件についてさらに議論しないことを決めたという。
サムスン、グーグルとのビジネス関係を考慮
これに先立つ2023年4月、米ニューヨーク・タイムズは、サムスンが自社製スマホに搭載している同社製ウェブブラウザーの標準検索エンジンをグーグルからBingに切り替える計画だと報じていた。マイクロソフトは23年3月、出資する米オープンAIが手がける対話AI「ChatGPT」の機能をBingに取り込んだ。それ以降Bingの人気が上昇している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、サムスンは当初、多くの利用者が自社のブラウザーアプリを利用していないため、検索エンジンを切り替えたとしても現状が大きく変わることはないと考えていた。サムスン製スマホの大半の利用者は、同じく標準搭載されている「Google Chrome(グーグル・クローム)」などの他社製ブラウザーを使っているからだという。
だが、事情に詳しい関係者によれば、サムスンは検索エンジンの切り替えが、市場にどのように受け止められるかを巡る懸念や、グーグルとの広範なビジネス関係に及ぼす影響を懸念した。その結果、現時点では、変更を行わないことを決めた。ただし、サムスンはBingを選択肢から完全に外したわけではないと、関係者は話している。