5月4日、英国で開催された統一地方選では野党が大勝した(写真:ロイター/アフロ)

(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

 4年ぶりに訪問したロンドンでは、コロナ前の日常がほぼ戻っていた。

 目を凝らしても、マスクを着けている人を見つけることは難しい状況だ。ロンドン中心部の金融街シティでは、17時過ぎから22時くらいまで、パブで人々が酒を片手に会話を楽しむ光景が見られた。アクリル板やビニールシートを設置する飲食店や小売店は、全くなかった。

 とはいえ、コロナによって変わったこともあるようだ。

 コロナ前のシティでは、週末、金曜日の夜が一番混んでいた。しかしコロナ後は、金曜日にテレワークする人々が増えたため、木曜日の夜が一番混むようになったという。そして、月曜日も出社しない人が多くなった結果、シティが賑わうのは火曜日から木曜日までに変わったそうだ。

 それにコロナを経て、ロンドンではキャッシュレス化がさらに進んだという印象を受けた。

 もともとロンドンでは、コロナ前からコンタクトレス(非接触型)クレジットカードによる決済が普及していたが、コロナ禍を経て、それが加速したようだ。今では公共交通機関のみならず、小売店や飲食店での決済もコンタクトレスで行われている。

 いずれにせよ英国では、コロナ前の活気が戻ったように見受けられる。言い換えれば、英国の有権者は、コロナ前から抱えていた欧州連合(EU)からの離脱に伴う諸問題に、再び向き合うことを余儀なくされたことになる。

 英国がEU離脱の是非を問う国民投票を実施したのは2016年6月23日と、今から7年前のことだった。