私は、自分の専門領域や社会全般では、ここ40年来、結果的に成果を出せ、うまく行ったと思います。

 また、こと東京大学という、少なくともかつてはとんでもない役所機構のごく一部では、ケミカルハザード事件の被害者になるなど、あり得ないハラスメントにも直面、それを克服するのに四半世紀を費やすという、これまた「貴重な」体験もしました。

 それを克服できたのは、上も下も総力を挙げて私をサポートしてくれたからで、普通ならあり得ないことを可能にしていった。

 そういう「組織の論理」関連の話題も面白いので、いつか書こうと思いますが、ここでは別論としましょう。

 新社会人にアドバイスするのは、月並みではありますが「ほうれんそう」の徹底です。

「報告」「連絡」「相談」これができないZ世代が非常に多い。

 学生気分、こどもの了見だと、本来欠かしてはならない報告や連絡、相談ごとや、引き継ぐべき業務をすっ飛ばして、大きなポカをやらかしてしまう。

 こうしたことが、21世紀初頭に比べ、ここ10~20年、相対的に増えている印象があります。

 私一人の印象ではなく、小ラボで客員研究員を務める複数企業の管理職が口をそろえて、新人全般に「幼稚化している」と言われる。

 具体例を記すなら「まともに第三者が見て理解できるメールが書けない」「軽く叱責したら、その場で泣き出す男性社員が出て本当に困った」「成人は30歳、くらいに思った方が安全」などなど・・・。

 これ、いま20代後半から30過ぎくらいの人で、近年実際にあったことですが、さらに若いZ世代の読者はどう思われるでしょうか?

 転んだとき、うまい受け身を取って傷を負わないこと。再び立ち上がって、自分の足で歩き出すこと。

 これらができればつぶれません。そうしたことができなくなってしまい、最悪の事態に至ったケースも、25年来少なからず見てきました。

 酸いも甘いも嚙み分けたうえで、私が間違いなく言えることは「報告・連絡・相談」は、絶やさない方がよいに尽きます。

 というのは、他の問題は「ほうれんそう」をしっかり保つことで解消、軽減化させることが可能であるから。

 あと、心の底から「ほうれんそう」を共有できる上司や同僚、そして後輩、生涯の友となる人を社会に出てからも常に作り続けていくこと。

 変な浅いネットワークを広げるだけでなく、生涯信頼できる人を見つけ続けることも大切でしょう。そんな中から、あなたのパートナーとなる人が出てくることにもなるのだから。

 まあ、ありがちな新人向けのエールを贈るとともに、ぜひ「転ばぬ先の杖」だけでなく、人生では必ず転びますから、その時の受け身の取り方と、立ち上がった再び自分の足で歩き出す強さを身に着けてください。

 これは仕事だけではない。失恋やプライベートのショックで心の健康を損ねたケースも山のように思い出されます。

 人は転ぶ。必ず転ぶ。そのとき、いかにして再起していくか。それを支えてくれる心の仲間がどれだけ存在しているか。

 そうしたことが、生きていくすべての大本ですから、エールと共に強調して、男女を問わずフレッシュマンの皆さんにお贈りしたいと思います。