TFASAは、中国の中国航空技術国際有限公司、南京航空航天大学との三者による合弁で、南京にパイロット養成学校「南航艾維国際飛行学校」(AIFA)を設立しているのである。

合弁相手は中国軍事産業の中核企業の系列

 中国航空技術国際有限公司の上部組織は、中国航天科技集団(CASC)で、中国人民解放軍が管轄する宇宙開発を一手に担っている大国有企業である。宇宙船や発射ロケット、戦略および戦術ミサイルシステム、地上機器などの設計・開発・製造を手がけ、いわば中国の軍事産業の中核的存在だ。アメリカでは、商務省産業安全保障局による「エンティティ・リスト」(貿易上の取引制限リスト)の掲載企業のひとつに挙げられている。

 ウェブサイト「バイドゥ百科」によれば、「南航艾維国際飛行学校」(AIFA)は、資本金2000万元、2010年に南京で設立。総額約4億元(約77億円)を投資して、中国の民間パイロットを養成する目的で作られたと、紹介されている。写真が一枚掲載され、大きく「AIFA」と書かれた格納庫の前で、女性2人を含む合計15人の欧米人が立っている。

ウェブサイト「パイドウ百科」掲載の「南航艾維国際飛行学校」(AIFA)より

 学校説明の中に、「合弁パートナーである南アフリカのTFASAが、イギリスやノルウェー、フランスなどの退役パイロットを指導員として雇用し、南京へ数カ月間派遣した」と記されているので、おそらく全員がTFASAから仲介・斡旋されてきた指導員だろう。