(山田敏弘・国際ジャーナリスト)
いま中国で、学生の就職難が大きな社会問題になっている。
2023年、中国では1158万人が大学を卒業し、史上最も厳しいと言われる就職難に直面している。大学卒業生は昨年と比べると7.6%も増加しており、就職を求める学生が市場に溢れるのは必至だ。
中国の統計を見れば、2022年の時点ですでに大学卒業生の就職率は極めて低いことがわかる。文系学生の就職率はなんと12.4%と極めて低水準だし、理系でも理学系が29.5%、エンジニア系が17.3%となっている。2023年にはこの数がさらに低くなるとみられているのだ。
中国のSNSでは就職できない学生らの悲痛な声で溢れており、大きな社会問題になりつつある。
締め付けが厳しい米国を避け、中国人留学生の目は日本へ
国内で就職にあぶれると外国に活路を見出そうとする学生も増える。これは中国からの留学生が多い日本にとっても決して無関係ではない。
筆者は中国人の知り合いも少なくないが、日本に留学しているある中国人大学院生に話を聞くと、「中国では景気の低迷による就職難で海外留学したい人が非常に多くなっている」という。しかも、これまで人気が高かったアメリカに留学したい人は激減しているのだそうだ。その理由は、トランプ政権以降、スパイ対策などで中国人留学生への締め付けが厳しくなったからだ。