(西田 亮介:東京工業大学准教授、社会学者)
総務省の政治的公平文書に関心が集まっている(2023年3月7日、総務省HP「政治的公平に関する文書の公開について」)。
立憲民主党の小西参議院議員が入手、公開したものだ。事後的に総務省も行政文書であることを認めた。
当時総務大臣だった高市経済安全保障担当大臣は国会で小西氏の追及を受け、「捏造だ」「(真実なら議員辞職で)結構だ」といった発言をするなど乱戦模様だ。
新聞見出しやネットでも「報道の自由への政権の介入」や「放送法解釈の変更」といった目を引く文言が踊る。だが、それらは刺激的であるだけに基本的な経緯に対する理解が追いついていない印象だ。
本報道をリードした朝日新聞をはじめ新聞各紙では解説記事が出ているが、それらはネットではあまり展開されていないか、ペイウォールのなかだ。本稿では改めて経緯を解説し、読者の理解を促すとともに幾つかの解釈を示したい。