ウクライナの首都キーウを電撃訪問した米国のジョー・バイデン大統領(2023年2月20日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国のウクライナ支援に微妙な影が広がってきた。ウクライナのロシアに対する反撃に大規模な支援を長期的に続けると米国にとっての最大脅威である中国への適切な対処ができなくなる、という意見が連邦議会の一部で生まれてきたのだ。

 その背景には、ウクライナ長期支援への米国の一般世論の支持が後退していることや、米国以外の西欧諸国のウクライナ支援が不十分だとする不満の高まりも指摘される。この米国での「ウクライナ疲れ」の広がりは、今後の世界情勢全体をも大きく左右しかねない。

「中国こそ最大の敵」と主張するホーリー議員

 現在、米国議会でバイデン政権のウクライナへの長期にわたる支援に対して最も明確な反対論を述べているのは上院のジョシュ・ホーリー議員(共和党・ミズーリ州選出)だろう。

 たとえば同議員は2月中旬のワシントンの大手研究機関ヘリテージ財団での講演で1時間にわたり、バイデン政権のウクライナ支援は総合的な戦略的思考に欠けるという趣旨の主張を述べた。