ヴロツワフ大学の講堂

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 それこそギョッとした。いや、ひっくり返りそうになったと言うべきかもしれない。

 ドイツの東南端に位置し、ポーランドに国境を接するゲルリッツという街で地図を見たときのことだ。その地図の写真をまずはご覧いただきたい。

シロンスク(ドイツ語では「シュレージェン」)地方の地図
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 地名がすべてドイツ名になっているのでわかりにくいかもしれないが、これはドイツ語で「シュレージェン」と呼ばれる地方を1つに収めたものである。ゲルリッツから東へ細長く伸びるこの地域は、今現在はほとんどがポーランド領になっている。ポーランド語では「シロンスク」と呼ばれる地域だ。

 この地図は、宿泊先の入り口の内壁に堂々と掲げられていた。ゲルリッツはポーランド人観光客も少なくない。それなのに、ポーランド領のはずのシレジア地方が、この地図ではまるでドイツ領であるかのように描かれている。

 日本人として韓国に住んでいると、この手の地図にはかなり敏感になってしまう。日本全土の地図でなくとも、島根県の地図に竹島(韓国名「独島」)が描かれているだけで、それが韓国人の知るところとなればネット上で大炎上しかねないのだ。