サッカー日本代表・遠藤航の著書『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』が好評、版を重ねている。

 2011年から続く老舗サッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京)でMCを務める勝村政信氏が読んだ、本書の魅力とは?(文・勝村政信)

遠藤航は、すごい選手なのか?

 遠藤航という選手のことは、正直わからなかった。

 凄い選手なのか?そうではないのか?

 決してエリートではない。

 特筆すべきものがあるのかも、正直わからなかった。

 だか、その疑問への解答は、遠藤航が日本を離れてから、はっきりとわかることになる。

 遠藤航は得体の知れない「何か」を持っていた。

「何か」。

 遠藤航という原石は、埋もれてしまうはずだった、に違いない。

 その原石を発掘したのは、曹貴裁である。

 曹貴裁監督も、得体の知れない「何か」を持った人である。

 常人にはなかなか理解できない、異能の力を内包した特殊な人たち。

 その特殊な力は、同じ底知れぬ、特殊な力を持った人にしか理解できなかったのだ。

 その後、遠藤航と出会うのは、さらなる特殊な力を持った、戦士であり、名将でもあり、今は日本サッカー協会技術委員長の反町康治である。

 日本のサッカー選手の中でも、極めて特殊なキャリアを持ったスペシャルな人である。

 規制の枠組みに囚われることに常に疑問を持ち、その疑問を持ち続けられる力を持ったパーソナル。この国で、その力、勇気を持つことは、孤立を意味する。

 曹貴裁、反町康治は、その孤立を軽やかに受け入れて、空高く飛べる翼を持っている。それは、飛び抜けた頭脳という翼だ。

 そんな二人の薫陶を受けたのが、遠藤航なのだ。