(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
はっきり言って、本当に迷惑な話だ。中国のことだ。
中国の軍事的脅威が現実のものとなり、お陰で日本は戦後の安全保障政策の転換を迫られた。12月16日に閣議決定した防衛3文書には、中国の対外姿勢や軍事動向を深刻な懸念事項として「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と明記。「反撃能力」を保有し、防衛費をGDP(国内総生産)比で2%に倍増する方針を打ち出した。
この防衛費の増額の財源として、法人税、復興特別消費税、たばこ税に上乗せして充てる方針だ。
海外ではタバコのパッケージにおどろおどろしい写真も
中国による台湾への侵攻がいつあってもおかしくはない状況で、そうなれば南西諸島も戦域に巻き込まれる可能性は十分にある。ロシアによるウクライナへの侵攻も、世界情勢が不安定であることを物語る。ならば、防衛費の増額は致し方ないとしても、果たしてその安定財源がこれで確保できるのだろうか。
そのなかで不思議でならないのが、たばこ税の増税だ。
海外を旅したことのある人ならわかるだろうが、日本のたばこの価格はまだまだ安いほうだ。諸外国ではもっと高い税金をかけている。
しかも、たとえばタイでたばこを買えば、パッケージに喫煙によるヤニでボロボロになった歯並びの写真や、死亡した人の胸を切り開いて内臓をそのまま映したものなどが表示されている。見たくなくても、『セブン-イレブン』など日本でも馴染みのコンビニのレジの奥にたばこが並べられていれば、否応なく目に入る。