ワールドカップ効果で、購入者の列ができた上海の宝くじ売り場(筆者撮影)

 日本を沸かせたサッカーワールドカップ(W杯)。代表が本選に出場できなかった中国でも盛り上がりました。というのは、勝敗を予想するスポーツくじ(宝くじ、彩票)の販売が非常に好調だったのです。

 2022年ワールドカップの中国国内におけるスポーツくじの販売金額は最初の7日間で、147億元(約3000億円)に達しました。この金額は2018年のロシアワールドカップのときの2倍に当たります(「世界杯带动彩票热和足球热,疯狂体育精准布局有望借力提速」https://new.qq.com/rain/a/20221129A03MTS00.html)。

 当選金額が少ない!と怒った男が販売店を壊して逮捕された、という報道(「世界杯购彩莫“上头”!一男子嫌赔率太低打砸彩票店」、https://finance.sina.com.cn/jjxw/2022-12-10/doc-imxweisv1712078.shtml)があったほどです。

 ところが、宝くじ産業全体を見ると、徐々に規模が縮小し始めています。なぜでしょうか。

電気製品の商品から高額当選金目当てに

 中国で最初に宝くじが発売されたのは、19世紀末の上海でした。租界つまり外国政府管理下に置かれていた地区で、スペイン政府によって発行された「吕宋票」という名前で、スペイン政府の歳入不足を補うために発行されたようです。その後、当時の中国政府も政府歳入を補う目的で次々と半官事業として宝くじを発行していくことで、中国にも宝くじが根付いていきました。

 1940年代から1970年代までは、「資本主義の象徴」とみなされた宝くじは中国本土から姿を消しました。ところが1980年代から始まった経済自由化で、「スポーツくじ」(体育彩票)や、スクラッチを中心とした宝くじ「福利彩票」(福彩)として、くじが復活しました。

 1980年代には冷蔵庫や洗濯機などの賞品が人々の関心を集めましたが、その後は関心が「当選金」に変わりました。当選金は500万元だったものが1億元になり、2012年には5.7億元の高額当選者が現れるなど、「運命を変えるチケット」として社会に広まっていきました。

 ただ、中国の宝くじは、日本に比べて収益の配分が異なる点が特徴的です。